マンガみたいなチェンジ・アップを投げる2メートルのパワーアーム ダスティン・ニッパート 2011/01/29 (Sat)

二年にわたり広島カープ投手陣を支えたコルビー・ルイスが、古巣テキサス・レンジャーズにカンバックすることになった。ルイスがレンジャーズのロースター枠に入ることで誰かが溢れるわけで、ぜひ外して欲しいのがこの人

ダスティン・ニッパート　28才　身長203センチ　体重102キロ　

2009 3A 5試合 4先発 1勝 1敗 17.2イニング 14三振 防御率2.55 WHIP1.01
MLB 20試合 10先発 5勝 3敗 69.2イニング 54三振 防御率3.88 WHIP1.33

150キロ超えを連発するストレートに変化球はスライダー、カーブ、ツーシーム。そしてチェンジ・アップが凄くいい。ルイスのスライダーはマンガやアニメの魔球のようだったが、ニッパートの場合はチェンジ・アップがそれに当たる。

凄い勢いで落ちていくマンガみたいなチェンジ・アップ。

シュルツ先発転向という話があったけれど、シュルツが先発したらこんな感じかなという投手。そのシュルツとはダイヤモンド・バックスのマイナーで4年間一緒にプレーした仲で、シュルツの広島での成功も知っているはずだ。

シュルツと同じように2メートルの長身から投げるニッパートの速球は日本のプロ野球では大きく生きるだろう。いかにも広島カープが好きそうな投手で、リストアップしている一人のはず。ルイスがテキサスと契約したと聞いて、真っ先に浮かんだのが「じゃニッパートを獲れるかも」だった。
 
昨シーズンは先発6番手兼リリーフで登板していたニッパートだが、テキサスの先発投手陣はエースのフェルドマン、FAで獲得したハーデンとルイスが続き、左のホランド、ウイルソン。さらにハンター、マッカーシーらの名前があげられ、今シーズンの投手予想ではニッパートは先発枠から外されている。



獲れそうなポイントとしてはニッパートがマイナー行きのオプション切れであることだ。
日本のプロ野球では一軍から二軍への移動は何度でも行えるが、MLBの場合マイナー行きが通達できるのは3度までで、4回目はウエーバーにかけなければならない。(入団したばっかりの選手は関係無し)

開幕一軍メンバーの中で投手は12人。一度でもニッパートを一軍ベンチから外してしまうとウエーバーで他球団に持っていかれてしまうか、トレードをまとめるしかないのだ。マイナー行きが通達できない選手のトレードは割安になってしまう。ダイヤモンドバックスからテキサス・レンジャースへ移籍したのもオプション切れのための格安トレードだった。先発確定でもなく、セット・アッパーやリリーフ・エースでもないニッパートを一度も25人ロースターから外さずシーズンを乗り切ることは難しく、ならば日本のチームに譲った方が断然得。テキサス・レンジャーズは昨年キャメロン・ローをホークスに譲渡している。微妙な立場の選手を日本へトレードするキャリアもあるのだ。

またMLBで3シーズン終了した選手は年棒調停の権利を得る。これをきっかけに大幅に年棒がアップするのだが、今年の1月ニッパートは調停権を回避して41万ドルから66万5千ドルでサインした。調停権を持ちながらわずかしかアップしなかったところを見ると、あんまりテキサス首脳陣から期待されていないのか、譲ってもらえる可能性を感じてしまう。

厳しそうなポイントとしては、昨年10試合に登板したリリーフでの成績が防御率1.86と良かったので、ロング・リリーフでの起用が予想されていることだ。ただロング・リリーフはマイナーで好投している投手をシーズン中に一軍にあげて使う枠でもある。テキサスは才能のある若手投手が増えていて、ベンチ枠を争っている投手の中でニッパートが一番の年上なのだ。オープン戦でテキサスの若い投手陣が好投し、ニッパートが少し打たれてくれるとチャンスが拡大するのだが。
 
ニッパートに必要なのは先発の経験だ。ロンク・リリーフやマイナーで先発をしても成長には繋がらない。2シーズンほど日本で先発としてローテーションを守ればMLBに好条件でカンバックできるだろう。そうカープで先発のキャリアを積んだルイスのように。

カープ・ファンの心に開いてしまったルイスという大きな穴。この穴を埋めるにはインパクトの強い投手が必要だ。二桁勝利が期待できるパワーアーム　マンガのような変化球が投げられるダスティン・ニッパート　ぜひ日本で投げて欲しい投手だ。



最後にルイスについて、日本に来る前年アスレチックスでシーズン26戦、防御率6.45だったルイスがメジャーで通用するのか?という意見がある。

2007年初登板で先発のチャンスをもらったルイスだが、3回3/1で10失点　防御率は27になってしまった。その後の25戦はすべてリリーフ。このうちの一試合では内野守備の乱れから1回で4点失った試合があるが、悪かったのはこの二試合だけ、二試合を除いた24戦の防御率は3.4。平均防御率4.2のアメリカン・リーグで、ルイスはかなり頑張っていたことがわかる。

MLBの他チームならメジャーに獲られた感があるが、もともとドラフトで指名したのもテキサスだから日本で作った先発のキャリアを持って好条件でのカンバックとなった。 彼が広島で投げた二年間。もしルイスがいなかったらと思うとぞっとする。大竹や前田健太にも好影響を与えてくれた。メジャーでの活躍が家族の大きな支えとなるだろう。彼の成功を祈りたい。

MLB公式　ダスティン・ニッパート
http://mlb.mlb.com/team/player.jsp?player_id=430962

ニッパート動画集
http://mlb.mlb.com/search/media.jsp?text=Nippert&x=31&

マイナー成績
http://www.baseball-reference.com/minors/player.cgi?id=nipper001dus

ニッパートが先発で好投した試合　スコアをクリックすると映像スタート
(2008年の映像はMLB公式サイトで公開が終了したようです。)

2008年8月29日エンゼルス戦　ゲレーロ、ティシェイラと対戦
http://mlb.mlb.com/news/wrap.jsp?ymd=20080829&content_id=3387484&vkey=wrapup2005&fext=.jsp&team=away

2008年9月03日マリナーズ戦　こちらはイチロー選手と対戦
http://mlb.mlb.com/news/wrap.jsp?ymd=20080903&content_id=3412483&vkey=wrapup2005&fext=.jsp&team=home


これを書いたのはキャンプ前なのですが、オープン戦5試合に登板したニッパートの成績は・・・・・・・防御率0.00　ニッパート絶好調 !! これでは獲れない・・。実力が下のマイナーの選手との対戦が多いのもあるけれど、ちょっと好投し過ぎだぞニッパート。

ニッパート　2010　オープン戦成績 5試合 防御率0.00 12イニング 10三振 WHIP0.42 3月の初めにヤンキースから右リリーフのラミレス投手を獲得する動きもあって当初はチャンス ! と思っていたのだが・・。(ラミレスはその後トレードに)　逆に困ったのがニッパートを押し出してくれるだろうと期待していたハンターとホランド、二人の先発候補の出遅れだ。どちらかが元気でニッパートが炎上してくれていれば獲れたかも知れない。今回はダメだったが「いつか獲れんかのぅ」とチェックを続けていきたい。カープもそんな思いで見ている投手だと思う。

2010MLB公式戦がスタートし、ニッパートの初登板は4月7日、オープン戦での好投もあって、試合がまだ解らない同点での登板だ。この初登板でニッパート見事に炎上～!!　2.2イニング1安打4四球3失点、1安打がホームラン!! すでに応援しているのか、どうなのか解らなくなっているが、打たれてくれなければ獲得妄想も出来ないわけで、あと二回ぐらい打たれてくれればチャンスが出てくるかもしれない。

炎上するニッパートさん
http://mlb.mlb.com/mlb/gameday/index.jsp?gid=2010_04_07_tormlb_texmlb_1&mode=wrap

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